排水・用水 - 株式会社日本分析
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排水・用水の検査・分析

1.工場排水・浄化槽排水・下水道排水の検査・分析

1-1.はじめに

水質汚濁防止法や下水道法では、工場や事業場から排出される下水、排水や、さらに地下に浸透する汚水を規制しています。

生活排水対策を推進することによって、水質汚濁の防止を図ることを目的としており、基準違反に対しては罰則などが定められています。
さらに、都道府県の条例で、上乗せ基準(区域を指定して一律基準よりも厳しい許容限度とする基準)や横出し基準(一律基準以外の項目について規制)も定められています。

1-2.工場排水

1-2-1.放流水

工場や事業場で発生した排水を、下水道や河川等公共用水域に放流するために浄化した処理水が放流水です。ここでは、皆さまからご依頼の多いセット項目をご紹介します。
なお、初めて浄化処理施設を稼動し、工場や事業場で発生した排水を放流する場合は、水質汚濁防止法や下水道法に掲げられている全ての検査を行わなくてはなりません。

■工場排水6項目+窒素・りん

検査項目 基準値(許容限度)
1 水素イオン濃度(pH) 5.8以上8.6以下(海域以外の公共用水域に排出されるもの)
5.0以上9.0以下(海域に排出されるもの)
2 生物化学的酸素要求量(BOD) 200mg/L(日間平均150mg/L)
3 化学的酸素要求量(COD) 160mg/L(日間平均120mg/L)
4 浮遊物質量(SS) 160mg/L(日間平均120mg/L)
5-1 ノルマルヘキサン抽出物質含有量(鉱油類含有量) 5mg/L
5-2 ノルマルヘキサン抽出物質含有量(動植物油脂類含有量) 30mg/L
6 大腸菌群数 日間平均 3,000個/cm3
7 窒素含有量(T-N) 120mg/L(日間平均60mg/L)
8 燐含有量(T-P) 16mg/L(日間平均8mg/L)
1-2-2.原水(処理水・工程水など呼び名は各事業所さまで異なる場合があります)

原水は、浄化処理を施す前の水・浄化処理途中の水を言います。したがって、高濃度であることも多く、正確に水質の状態を把握し、処理が適切になされるよう、管理者さまは数値を管理する必要がございます。

赤字の部分が原水・処理水・工程水といわれる部分(青字は放流水)

施設発生の水(原水)→ 除害施設にて処理 → 放流水
施設発生の水(原水)→ 除害施設にて処理 → 除害処理水 → pH調整槽にて処理 → 最終放流水

一般的には、放流水と同様の検査項目を行うことが多いですが、有害物質の検査項目を追加される場合もございます。

1-3.浄化槽排水

工場や事業場等から公共用水域に排出される水は水質汚濁防止法により規制がなされ、下水道へ排出される場合は下水道法により規制がなされていますが、これらに該当しない浄化槽からの排水は、浄化槽法により規制がなされています。地域によっては条例等で更に規制がかかっている場合もあります。ここでは、皆さまからご依頼の多いセット項目をご紹介します。

■浄化槽排水5項目+窒素・りん

検査項目 基準値(許容限度)
1 水素イオン濃度(pH) 5.8以上8.6以下(海域以外の公共用水域に排出されるもの)
5.0以上9.0以下(海域に排出されるもの)
2 生物化学的酸素要求量(BOD) 200mg/L(日間平均150mg/L)
3 化学的酸素要求量(COD) 160mg/L(日間平均120mg/L)
4 浮遊物質量(SS) 160mg/L(日間平均120mg/L)
5 大腸菌群数 日間平均 3,000個/cm3
6 窒素含有量(T-N) 120mg/L(日間平均60mg/L)
7 燐含有量(T-P) 16mg/L(日間平均8mg/L)
1-4.下水道排水

下水処理場があるからといって、下水道にどんな排水を流しても言い訳ではありません。水質汚濁防止法やダイオキシン特措法で定められた汚水や廃液を排出する施設は、特定施設と呼ばれ、その施設を設置している事業場を特定事業場といいます。

例えば、ガソリンスタンドに設置されている自動洗車機を特定施設といい、この洗車機を設置しているガソリンスタンドを特定事業場といいます。

下水排除基準は、特定事業場であるか否かに関わらず、公共下水道を使用する全ての事業場に適用され、基準に適合しない水を排出する場合は、除害施設を設け、公共下水道に排出される下水の水質を検査し、その結果の記録を5年間保存しなければなりません。

1-4-1.下水の水質の測定とその記録(下水道法第12条の12)

公共下水道へどのような下水が排除されているかを知るために、下水を排除している特定施設の設置者は、その下水の水質を測定し、その結果を記録しなくてはなりません。測定方法、測定箇所、記録の方法については、所管の下水道事務所へお問い合わせください。なお、測定回数は、右記のとおりです。

測定項目 測定回数
pH・温度 1日に1回以上
BOD 14日に1回以上
ダイオキシン類 1年に1回以上
その他の項目 7日に1回以上
1-4-2.グリストラップ・スクリーンおよび泥だめの設置

油脂類や固形物を多く含む下水を流すと、排水管や下水道本管が詰まる場合があるため、油脂販売店、自動車整備工場、飲食店、その他これに類する油脂類を多量に排除する箇所には、グリストラップを設置し、適正な維持管理をする必要があります。

■自動車整備工場14項目検査

検査項目 基準値
1 水素イオン濃度(pH) pH5を超え9未満
2 生物化学的酸素要求量(BOD) 600mg/L未満
3 浮遊物質量(SS) 600mg/L未満
4 不揮発性鉱物油類 5mg/L以下
5 不揮発性動植物油脂類 30mg/L以下
6 よう素消費量 220mg/L未満
7 フェノール類 5mg/L以下
8 クロム及びその化合物 2mg/L以下
9 銅及びその化合物 3mg/L以下
10 亜鉛及びその化合物 2mg/L以下
11 鉄及びその化合物(溶解性) 10mg/L以下
12 マンガン及びその化合物(溶解性) 10mg/L以下
13 外観(色調) 放流先で支障をきたすもの
14 外観(濁り) 放流先で支障をきたすもの

特に悪臭や排水管の詰まりの原因となる油脂類(ラード)の除去、トラップ内の清掃を定期的に行う必要があります。また、清掃した油脂類などは廃棄物として正しい処理が大切です。
洗車場その他これに類する場所で、土砂等を含む汚水を多量に排除する箇所には、有効な深さを有する泥だめ(沈砂装置)の設置が必要です。

2.雑用水の検査・分析

雑用水については、これまで「再利用水を原水とする雑用水道の水洗便所用水の暫定水質基準等の設置について(昭和56年4月3日環計第46号)」に基づき、水洗便所用に限って水質基準に当てはめた検査を行うことがほとんどでした。

しかし、平成14年12月3日厚生労働省令第156号改正により、建築物衛生法(ビル管法)施行規則第4条の2が新設され、 生活用の目的以外で水(いわゆる雑用水)を供給する場合は、人の健康に係る被害が生ずることを防止するための措置を講ずるための基準が追加されました。

また、平成16年3月30日付厚生労働省健康局トピックス「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則の一部を改正する省令の概要」で 「大腸菌群」が「大腸菌」の検査に変更となっています。

雑用水の水質検査(ビル菅法施行規則第4条の2)
pH値、臭気、外観 7日以内ごとに 1回 (1) 散水、修景または清掃 (2) 水洗便所用
大腸菌、濁度 2ヶ月以内ごとに 1回 (1) 散水、修景または清掃
大腸菌 2ヶ月以内ごとに 1回 (2) 水洗便所用
遊離残留塩素 7日以内ごとに 1回 (1) 散水、修景または清掃 (2) 水洗便所用
給水栓における水に含まれる消毒用塩素の含有率は下記のとおり
遊離残留塩素 平常時0.1ppm以上(緊急時0.2ppm以上)
結合残留塩素 平常時0.4ppm以上(緊急時1.5ppm以上)
再利用水を原水とする雑用水道の水洗便所用水の暫定水質基準
大腸菌群数 毎月 1回以上 下水の水質の検査方法に関する省令に基づき検査結果は個/mlで表示
pH値 毎日 1回以上
臭気 毎日 1回以上
外観 毎日 1回以上
雑用水道の施設の機能を保持するため、スケール、スライム等の発生の抑制に努めるため、過マンガン酸カリウム消費量、
生物化学的酸素要求量(BOD)、鉄、マンガン、蒸発残留物等についても考慮すること。

3.冷却水・工業用水

冷却水は主に「冷凍空調機器用水質ガイドライン」に従って検査を行います。
法律で特別規定がないので、このガイドラインの「冷却水・冷水・温水・補給水の水質基準値」が重要な維持管理基準となります。

■指定8項目(循環系)

検査項目 基準値
1 pH(25℃) 6.5~8.2
2 電気伝導率(25℃) 80mS/m以下
3 塩化物イオン 200mg/L以下
4 硫酸イオン 200mg/L以下
5 酸消費量(pH4.8) 100mg/L以下
6 全硬度 200mg/L以下
7 カルシウム硬度 150mg/L以下
8 イオン状シリカ 50mg/L以下

■ガイドライン一覧表

項目 冷却水系 冷水系 温水系 傾向
循環式 一過式 低位中温水系 高位中温水系
循環水 補給水 一過水 循環水 補給水 循環水 補給水 循環水 補給水 腐食 スケール
生成
20℃以下 20℃超
60℃以下
60℃超
90℃以下
基準項目 pH
電気伝導率
塩化物イオン
硫酸イオン
酸消費量(pH4.8)
全硬度
カルシウム硬度
イオン状シリカ
参考項目
硫化物イオン
アンモニウムイオン
残留塩素
遊離炭酸
安定度指数

上記表中○は基準値が設定されている項目です。
上記表中傾向の●は該当する項目です。
上記表に掲載されていない項目で、ご依頼いただくことが多い項目に飽和指数(ランゲリア指数)、及びレジオネラ属菌があります。

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