異物・漏水の調査・分析
スタッフからのコメント
営業課 専門担当 関根 淳
異物の定性試験は事前に入念なお打ち合わせを必要と致しますので、お客様にご納得いただける試験内容のご提案に努めています。

未知試料の検査・分析を一般的には定性試験といいます。
定性試験は下記のように幾つかのパターンに分けられます。

  1. 水中に溶存する元素等の一斉定性→ICP/MS、GC/MS、IC等
  2. 水中に浮遊または沈殿する異物の定性→水分除去後、FT-IRまたはEPMA等
  3. 水分を含まないいわゆる固形物の定性→FT-IRまたはEPMA等
  4. 漏水の推定→サンプルの状態に応じて検討
  5. その他  簡易定性として、酸分解処理試験、燃焼試験など

定性試験は、そのサンプルの状態により結果が断定できない場合も多いので、あらかじめサンプルを確認させていただき、 試験方法をご説明申し上げた上で試験の開始となります。

水道異物について

水道水に関してのご相談は、消毒副生成物(トリハロメタン類など)や、カビ臭やカルキ臭などの異味・異臭に関するもの、そして異物混入など様々です。
その中で最近特に多いのが異物混入。原因はゴムやパッキン、各種シール材等の水道部材のほか、バクテリアなど微生物が考えられます。水道部材については、施設の老朽化や工事などの影響によるものが主な原因として考えられます。こうした異物の原因を究明することで「施設利用者様に安心をお届けしたい」と、日本分析では事前に入念なお打ち合わせをさせていただき、ご納得いただける試験内容のご提案に努めております。

一例として、FT-IRによる水道異物の手法をご説明します。

<使用機器:蠹臘点什扈蠕愁奸璽螢変換赤外分光光度計システム(IRAffinity-1,MIRacle10)>

島津製作所製 IRAffinity-1

※1mm程度までの異物試料を、2mmφのダイヤモンド/ZnSeまたはGeプリズム表面に載せてクランプで密着させて試料表面のスペクトルを入射角45°で測定します。
最新の水道異物データベースには、実際に異物として捕集された試料と市販の水道保守部材に関する情報もあり、異物の検索精度は高いものとなっています。

異物・定性

異物の検査ってどんな風に行うの?

スイシーが答えるQ&A - 水の異物障害」でもご説明しておりますが、実は異物についてその正体を検査して断定するのは、なかなかに難しいのです。
ここでは、その検査の手法についてご紹介します。なお、断定できない場合の言い訳(笑)にもできれば…。


スタッフからのコメント
信頼性確保部門 主幹(部門長) 池田達也
ICP-MSなど高度な分析技術をはじめ、あらゆる角度から異物・漏水に迫ります。
定性試験
一般的に上記のような「異物が何なのか」を調べるようなものを「定性試験」といいます。

定性試験はまず異物の情報を得るため、異物が酸で溶解するかどうかから始まります。酸で溶解すれば異物の主成分は金属である可能性が高く、その後ICP質量分析装置(Inductively Coupled Plasma Emission Spectrometry Mass Spectrometer)で金属元素の一斉定性等を行います。

溶解しない場合は、定性試験のもっとも一般的な手法であるFT-IR分析(Fourer-Transform Infrared Absorption Spectrometry)というものを行います。
このIR分析で得られたスペクトルをもとに、検査は次の段階へと進みます。

あらかじめ異物が有機物と特定できる場合には、このFT-IR分析で得られたスペクトルを解析し物質の推定を行います。
また、異物の特定ができない場合は、FT-IR分析で得られたスペクトルと、次に行うEPMA元素分析(Electron Probe Microanalysis)の結果から異物を推定します。
なお、異物が無機物の場合でも化合物として結果を出す場合には、FT-IR、EPMAをともに行い推定します。

実際には、異物は単一のものであることは少なく、さまざまな混合物である場合が多いので、解析を行っても化合物として“これだ”といえないことが残念ながら結構あります。

例えば、黒色の異物で検査の結果、主成分がカーボンということは読み取れるのですが、その他に含まれている
メイン成分が見受けられず、ゴムと断定できなかったことなどがあります。
逆に、ほぼ特定できた例としては、ステンレスの破片であることが、成分からも裏づけられ、管工事の場所の特定ができたことや、ゴムか金属の錆なのかというご依頼で、ゴムであることがほぼ特定でき、ポンプのゴムを交換することで異物の流出を防ぐことができたこともあるのです。

概ね定性試験は数万円〜10万円程度までかかることもあります。そして、その異物(化合物として)がほぼ推定
できる確率は6、7割といったところでしょうか。しかしながら、異物の成分は9割ほどの確率ですので、
ご依頼いただく内容によってはかなり高確率で分かるともいえます。
いずれにせよ、異物の定性試験は事前に入念なお打ち合わせをいたしますので、その上でお客様に
ご判断いただいております。

漏水

漏水の調査ってできますか?

いわゆる漏水の調査*注 は行っていませんが、漏水の「水」の元を分析によって推測したいというご依頼は
結構あります。ただし、お受けする場合とお断りする場合とがあります。

なぜなら難しいのです、これが。異物の検査と同様のことを申し上げるようで誠に恐縮ではありますが、特定はなかなかできないのが実情です。
サンプル量が少ない場合は、ほぼお受けしておりません。

漏水の元として考えられるのは、
 1.水道水(上水)
 2.雨水
 3.水洗便所排水(し尿)
 4.生活雑排水(風呂排水、洗濯排水、台所など)
があげられます。
このうち3.と4.を総称して生活排水といいます。事務所、食堂等からの排水は生活排水に含まれます。

漏水は“どばっ”という感じで漏れてくるのではなく、少しずつある部分から出てくることが一般的です。その間、さまざまな経路を流れ、いろいろなものを含み、水質が大きく変化していることも少なくありません。
そのため、上述した1.水道水と2.雨水は見分けがつかないことが多く、最後はメーター頼みになってしまうのです。
3.水洗便所排水と4.生活雑排水について、当社の持っているデータからお話しいたします。

水洗便所排水と生活雑排水の分析結果 (当社データ)
水洗便所排水 生活雑排水
BOD 約450mg/l 約200mg/l
COD 約250mg/l 約100mg/l
全窒素 約200mg/l 約10mg/l
上記データは2000年4月から2001年3月までの間に当社に検査依頼があったサンプルで、排水種別が明確であるもののなかから無作為に抽出した結果を平均したものです。

上記のとおり、特に全窒素の値が大きく異なることが分かりますが、漏水の水でこの全窒素を分析してみるとこの中間あたりになったり、見極めができなかったりすることが多いのが現実です。また、BODやCODを行うためにはそれなりの検水量が必要になり、分析できないことも少なくありません。

漏水の検査の場合は、実際にお水をお預かりし、見てから分析項目を決めるのですが、概ね、塩素イオン、界面活性剤、窒素関係、ナトリウム、カリウム、pH等をまず分析し、考察しています。

これまでのことを総括すると、漏水は排水種から4つに分類できますが、実際には2つ(きれいな水と生活排水)になってしまい、傾向を示すことしかできないのがほとんどです。

当社では一応考察ということで、ご説明の所見を添付しておりますが、分析機関によっては項目も依頼者が選択し、結果の数値のみを報告しているところも少なくないと聞きます。すなわち、分析した結果から漏水の「元」を見極めるのは非常に難しいということです。

言い訳がましくなってしまい申し訳ありませんが、先述したいわゆる漏水調査の補助的に分析をご検討するのであれば、一助になるかもしれません。
  • *注 いわゆる漏水調査には下記のようなものがあります。
  •  ・ 音聴調査(音聴棒で調べる)
  •  ・ 流量調査(流量計を配管露出部分につけて調べる)
  •  ・ 超音波式で非破壊
  •  ・ 圧力調査(圧力変化の記録から調べる)
  •  ・ ガス検知調査(音聴調査ができない場合に)
  •  ・ 管路調査(探知機などで調べる)

参考

スイシーが答えるQ&A「水の異物障害」
スイシーが答えるQ&A「異物の検査ってどんな風に行うの?」

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