細菌の検査・分析
スタッフからのコメント
分析課 課長 貝塚幸子
精度の高い分析結果をお客様にご提出することはもちろん、万一汚染が判明した場合は、迅速丁寧なご報告を心掛けております。

水を飲んで病気になる原因には、様々な要因が考えられます。

<化学物質による健康障害>
    代表的なものとして
  • 消毒副生成物−浄水過程の塩素処理等によって生成される副生成物で、クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルム(この4成分の総称を総トリハロメタンといいます)などがあります。
<微生物による健康障害>
代表的なものとして
  • 腸管出血性大腸菌O157−食中毒菌として知られています。特徴はベロ毒素を作ることで、免疫力の低い乳幼児や高齢者などは、腹痛、下痢、血便から腎不全を起こし、ときに死に至ることがあります。
  • レジオネラ属菌−土壌や地下水、河川水等、自然界に広く存在しています。通常では、感染症を引き起こすことは少ないのですが、空調冷却水内で増殖した菌が冷却塔(クーリングタワー)から飛散したり、入浴施設の水循環装置や浴槽表面で増殖した菌がシャワーなどで利用されたり、浴槽の気泡装置で泡沫に含まれたりしてエアロゾルとなり、それが気道を介して吸入され、肺に存在する。
    マクロファージ(肺胞マクロファージ)に感染することによって発病します。
    ヒトのレジオネラ感染症にはレジオネラ肺炎とポンティアック熱があります。

※レジオネラ肺炎
2 - 10日の潜伏期間を経て高熱、咳、頭痛、筋肉痛、悪感等の症状が起こる。 進行すると呼吸困難を発し胸の痛み、下痢、意識障害等を併発する。死亡率は15% - 30%と高い。

※ポンティアック熱
多量のレジオネラを吸い込んだとき生じる。潜伏期間は1 - 2日で、全身の倦怠感、頭痛、咳などの症状を経て、多くは数日で回復する。

このように、飲料水と人の健康を考えると、特に病原性微生物による消化器感染症との関係が深いといえます。
本ページでは、<レジオネラ属菌>と<飲料水の菌検査>についてご紹介致します。

レジオネラ属菌

日本分析ではスライム、藻、レジオネラ属菌を抑制する水処理剤もお取扱いたしております。詳細はお問い合わせください。

細菌類は大腸菌、一般細菌が飲料水の水質検査として最もポピュラーでありますが、温泉施設の利用客が肺炎などを発症し、お亡くなりになるといった痛ましい事故が近年発生し、レジオネラ属菌の検査依頼は通年多数ございます。

レジオネラ属菌は「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」において「四類感染症」に指定され社会的関心も高く、入浴施設、循環式浴槽水、プール水、シャワー、ジャグジー等細かな水滴(エアロゾル)を吸い込む可能性がある設備や冷却塔施設等でのレジオネラ属菌の検査をお勧めします。

「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」
伝染病予防法の廃止に伴って施行された、感染症対策を担う法律です。

「四類感染症」
感染症予防・医療法において、対象とする感染症を、その感染力や罹患した場合の症状の程度に基づいて一類から四類及び新感染症等に分類したもの。それぞれに必要な対応、措置が定められています。

検査に必要な水の量

滅菌済の500ml容器をご用意いたしております。
採取した検体は直ちに試験するのが望ましいのですが、できない場合は冷蔵庫(5℃)に保管し、速やかにご依頼ください。

レジオネラ属菌の検出限界について

新版レジオネラ症防止指針(厚生省生活衛生局企画課監修)の中で、レジオネラ属菌検査方法については、検査精度を最低10CFU/100mlにすると記載されています。(CFU:Colony Forming Unit 集落)
検水を100倍に濃縮したものから100μl(=0.1ml)を培地に接種して、仮にこの培地にレジオネラ属菌の集落が1個出現したとき、もとの水100mlあたりのレジオネラ属菌の生菌数は10CFUになり、これがこの方法での検出限界になります。
結果書の表記については、本法では上記のとおり、集落1個は検水100ml中10CFUに相当します。よって、検査結果書の表記が10未満CFU/100mlのときは集落が0個(出現しなかったこと)であることを表しています。

「レジオネラ症の予防について」

●循環式浴槽

一般的には浴槽の水は、毎日交換して使用しますが、循環式浴槽は浴槽水を浄化・循環させて、水の使用量を抑えるものです。循環式浴槽では、お湯が配管系内を循環しているため、消毒や洗浄が不十分な場合、細菌やアメーバなどの微生物が、入浴者の垢などの有機物を栄養源として増殖します。
この結果、浴槽や配管系内で生物膜が形成され、この中でレジオネラ属菌も一緒に増殖するのです。
生物浄化方式の循環式浴槽では、ろ過材中に微生物を増殖させて汚れを分解させるため、より高濃度のレジオネラ属菌に汚染される可能性があるとの指摘もあります。

【予防方法】

  • 浴槽水の全換水を1回/週以上定期に行うようにする。
  • 全換水を行う場合は、塩素剤による浴槽内、ろ過装置や配管系内の消毒を実施し、その後洗浄する。
  • 塩素剤による浴槽水の消毒を行い、遊離残留塩素濃度で0.2mg/l〜0.4mg/l程度を1日2時間以上保つ。
  • 循環式浴槽の水は、バブルジェットやシャワー(エアロゾル発生)には使用しない。
  • 浴槽内、ろ過装置、配管系内の点検を実施するとともに、垢や髪の毛、ぬめりなどをできるだけ取り除く。

●循環式給湯設備

湯を循環しない、一般家庭での局所式瞬間給湯設備ではレジオネラ属菌の増殖は心配ありませんが、ホテル・病院などにある循環式給湯設備では、湯の配管内での滞留時間が長く、水温が低い場合に増殖の危険が指摘されています。

【予防方法】

  • 給湯温度は末端で55℃以上を保持する(レジオネラ属菌は55℃以上で死滅することが確認されています)。
  • 貯湯タンク、配管系内で湯が滞留しないようにする。
  • 貯湯タンク、配管系内、シャワーヘッドなどの清掃を定期的に行う。また膨張水槽の換水や、膨脹管の水抜きを行う。

●冷却塔

土埃に含まれて冷却塔に入ったレジオネラ属菌は冷却塔水系で増殖します。冷却塔は、冷却水の温度が細菌やアメーバなどの微生物の増殖に適しており、それが冷却塔からのエアロゾルに含まれて周辺に飛散し、空調の外気取り入れ口から取り込まれ、室内空気汚染が生じます。冷却塔はもっとも注意が必要な設備といえるでしょう。

【予防方法】

  • 冷却塔の使用開始時及び終了時に、化学的洗浄を行う。
    (薬剤例)
    過酸化水素
    グルタールアルデヒド  など
  • 冷却塔の使用期間中は、常時レジオネラ属菌の増殖を抑えるため、薬剤を継続して添加する。
    (殺菌剤例)
    塩素剤
    抗レジオネラ剤  など
  • 冷却塔水の色、透視度、堆積物などについて週1回程度の点検を行う。
  • 洗浄及び殺菌の効果を維持するために水処理を行うようにする。スケール、スライム、腐食の発生を抑制するため、薬剤を適正な濃度で投入したり、冷却水を強制ブローし水を補給したりすることにより濃縮を防ぐ。
  • 冷却塔の清掃は、毎月1回程度行うようにする。

なお、スケール、スライム、腐食の程度を確認するための水質検査の項目は、冷凍空調機器用水質ガイドラインに定められています。詳細は「冷却水・工業用水の検査・分析」  「雑用水の検査・分析」をぜひご覧ください。

●加湿器

非加熱式(超音波方式等)は、加湿器の貯留部での汚染が生じやすく、レジオネラ属菌が増殖しやすい条件にあります。
家庭用の加湿器では、この非加熱式のものが意外と多いので注意が必要です。

【予防方法】

  • 使用日ごとにタンクの水を交換し、定期的な清掃を行う。また、使用を中止したら、水抜き及び清掃を行う。
  • 通風気化式の場合、水の溜まる部分や流下する部分に細菌が増殖する可能性があるので、定期的な清掃を行う。

●修景用噴水、滝など

人口の滝や噴水は、管理不良によりレジオネラ症の感染源となり得ることがあります。

【予防方法】

  • 定期的に設備の消毒、清掃を行う。
  • 循環水については常時ろ過し、必要に応じて塩素剤など薬剤を投入。殺菌処理を行うとともに水質検査を行う。

レジオネラ属菌については、「スイシーが答えるQ&A」でもご説明していますので、是非ご覧ください。

飲料水の菌検査

飲料水水質検査の項目では、大腸菌・一般細菌が代表的な菌検査の項目です。その他には、クリプトスポリジウムの指標菌(大腸菌や嫌気性芽胞菌)等の検査も多数ご依頼頂いております。

< 一般細菌 >

一般細菌は、空中、土壌、草木等自然界に由来する。平常時より著しく上昇した場合には、何らかの汚染、病原生物混入の可能性を示唆している。

大部分は直接病原菌との関係はなく、無害の雑菌といわれている。

< 大腸菌 >

温血動物の糞便の中に多量に存在する。大腸菌が検出されることは、人畜のし尿や病原菌が直接または間接に混入したことを疑う重要な試験である。

近年は病原性大腸菌による汚染もあり、危険度大。

(一般細菌の検査) (大腸菌の検査)
左側:検出  右側:不検出 左側:不検出  右側:検出
正しい結果を得るために、滅菌された容器の使用や、法律で定められた検査着手までの時間にご協力をお願いいたします。

【飲料水水質検査をご依頼いただくお客様へ(お願い)】
厚生労働省告示第261号により判定(水質基準に適合・不適合)を行う水質検査の場合には、水質検査は12時間以内(※濁度・色度・pH値・一般細菌等の検査項目についての期間です)に行わなければなりません。

(東京都健康安全研究センター版パンフレットより)


クリプトスポリジウム
<クリプトスポリジウム等その他の項目>

クリプトスポリジウムは下痢症を引き起こす原虫で、水中では殻に覆われた
オーシスト(原虫が作り出す胞子のようなもの)の形で存在しています。
ヒトを含む脊椎動物の消化管などに寄生し、種と宿主の組み合わせ次第では
クリプトスポリジウム症を引き起こし、致死的になる場合もあります。

(ウィキペディアより抜粋)


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